達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2001/06/03 Sunday Song Book「珍盤奇盤特集その2」



山下達郎/君の声に恋してる 2001/6/27 発売予定 Single *1
Peter Sellers/A Hard Day's Night 1965 *2
The Mystic Astrologic Crystal Band/Factory Endeavour 1967『Mystic Astrologic
Crystal Band』*3
こまどり姉妹/涙のラーメン 1963 *4
藤健次/雪子のロック 1967 *5
山本リンダ/ミニミニデート 1967? *6
山本リンダ/トンボのメガネ 1967? *7
Cheech And Chong/Sister Mary Elephant 1972『Big Bambu』*8
應蘭芳/渚の歓喜(エクスタシー) 1968 *9
西郷輝彦/ローリングストーンズは来なかった 1973

*1 2000年からのNTTコミュニケーションズCM曲。
*2 Beatlesの大ヒット曲を、ローレンス・オリビエによるリチャード3世のパ
ロディ風に朗読したもの。全英14位。EMIでA&RはGeorge Martin。
*3 途中まで。
*4 コロンビア。作詞作曲遠藤実。
*5 ミノルフォン。作詞作曲遠藤実。歌手名とタイトルちょっと不安。
*6 おそらくラジオスポット。リンダの語り入り。
*7 作詞作曲遠藤実。
*8 全米24位。
*9 ビクター。お色気路線の名作。「オウ・ランファン」と読む。11PMにも出演。
デビューシングル。2コーラスまで。

内容

・Bon Appetit!

「8/22に発売する竹内まりやのニューアルバム、タイトルは『ボナペティ!』。
いよいよここ2週間ぐらいで最終フィニッシュ。テンパって参りました。」

・Mystic Astrologic Crystal Band

「18,9歳の頃に友人がハワイ旅行に行った。彼がレコード屋の前を通りかかっ
たら、1枚25セントでLPが山の様に叩き売りされていた。当時は1ドル360円
で、それを5000円分ぐらい買ってきた。それを当時のアマチュアバンドの仲間
5,6人で片っ端から聞いた。雑多で無名なものばかりで、ろくなものがなかっ
たが、何枚目かに現れたこのアルバムがなんともいわく言いがたい、サイケと
いうか訳のわからない音楽なんですね。それをみんなでおもちゃにして遊んで
いた。かけちゃ笑って、いわゆるイカモノ食いという奴ですね。その内消えて
なくなって、記憶からも消えていた。以来30年近く記憶から消えていたそのア
ルバムが数年前に「ミュージックマガジン」か「レコードコレクターズ」かの
レコード屋の広告を見ていたら、このアルバムがCD化されて売っているんです
よ。点目になりましてね。買いに行きました。フランス盤に日本語の解説カー
ドがついているんです。解説といっても無名ですからプロフィールも何もあり
ませんが、オリジナルのバックカバーにParis Sistersの女の子が書いている
推薦文の和訳と、歌詞カードとその対訳。妙にクールなんですね。CD化された
ということは、あの時に笑っていたのが間違いで、実はもう一度聞くと実はい
いんじゃないかと思って、もう一回かけましたがやっぱり笑ってしまいました。
それを是非一回かけてみたかったんです、この番組で。グループ名は神秘占星
水晶楽団?わかりませんがね(笑)。今聞いて笑えるかどうかわからないけど。
 帯のコピーを見ると「Steve Hoffman率いるMystic Astrologic Crystal
Bandの唯一のアルバム。メンバーの各々が織り成す楽器を駆使して作り出す
ポップワールドは、Beatlesにも通じるものがある。」(物を投げる音)。何も
いえませんがね。昔から一度かけてみたかった。こんなものまでマスタリング
してかける奴。サイアク。」

・涙のラーメン

リスナー「昔達郎さんの番組でかかったこまどり姉妹の「しょっぱいラーメン」
が忘れられません。」

「これは「涙のラーメン」という曲だと思います。有名な曲ですけどね。でも
この曲を私はNHKの番組でかけたことはありません。坂本龍一さんの方でかか
ったんだと思います。この曲は矢野顕子さんの「ラーメン食べたい」の元歌の
ような内容なので、『オーエスオーエス』が出たときに坂本君がかけたんじゃ
ないかと思います。しかしテンポがめちゃくちゃ複雑な曲ですね。4拍子と3
拍子が錯綜しましてですね。作詞作曲もちろん遠藤実さん。先週に引き続きま
して登場でございます。珍盤奇盤を続けてますとジワジワと遠藤実という人の
凄さが、五臓六腑にだんだん染みわたってくるという感じです。」

# 間違いなく、坂本さんのサウンドストリート(火曜日)の方でかかりました。

・雪子のロック

「前半は全部遠藤実さんで行ってみたいと思う。先週申し上げましたが、ミノ
ルフォンというのは物凄いレコード会社で、こういう物の巣窟。昔赤坂(泰彦)
さんがやっていたミリオンナイツという夜の番組では胡散臭いポップスの特集
というのをやってまして、彼の番組に出たときにそういうものを浴びせられま
して、中でも一番印象に残っていたのがこれがまたミノルフォンなんですね。
作詞作曲遠藤実。歌っているのが、歌じゃないですねこれは。やっているのが
藤健次さんという人。コロンビアで一枚シングルがある切りで、後はこれだけ。
1967年のシングルですが、たった34秒、しかもこれがA面。しかも歌じゃない、
語りだけ。これ本当に発売されたのかと思ったけど、うちのスタッフがジャケ
ットをミノルフォンから確認してもってきましたよ(笑)。ミノルフォンのコ
ンピレーションが何枚か出てまして、90年代の頭に『面白愉快で懐かし原盤』
があります。解説も何にもない。歌手と作曲者しか載っていないすごいコンピ。
ただ聞けという感じであります。」

・山本リンダ

「遠藤実さんといえば、山本リンダの「こまっちゃうナ」「ミニミニデート」、
あの辺の一連の、あれも凄いですね。『面白愉快で懐かし原盤』は赤坂さんか
ら音を借りてきたんですが、今週よくよく棚をみたらちゃんと持ってたんです
ね。何でも持ってますね(笑)。これで家のレコード棚からという看板に偽り
がでなくて済んだ。このコンピに入っている「ミニミニデート」はおそらく
ラジオスポット用で、それに引き続いて「トンボのメガネ」はこれも超絶な作
品であります。今のグラビアアイドルにこれぐらいの根性があったら大ヒット
出せると思いますが。やっぱり山本リンダさんには誰もかないませんね。」

・珍盤奇盤のコンセプトとは?

Q: 「こういう作品の製作者は何を目的に世に出していたのでしょう。はたま
た世に出したいだけだったのか?面白い路線だったのか?私は今ひとつコンセ
プトをつかめずにいます。達郎さんの意見をできれば一言でお願いいたします。」

「みんなマジに作っているんです。ほんとです。私がかけている珍盤奇盤は聞
いてて頭がウニになりますが、みんなまじめ。逆に受けを取りに行くものって
面白くありません。コメディアンが作った曲って一曲も入ってないんです。ほ
んとに世の中にまじめに出した物が、なぜか結果的に笑われてしまうというか、
笑われずにいられなくなってしまう。それぐらいマジだという。最も受ける芸
はギャグの一歩手前だということを言った人がいますが、そういうのと同じで
す。コメディアンや落語家が全盛期に作られた受けを狙うレコードは今聞くと
ほとんど面白いものがないという、一言でいうとそういうことです。」

・Cheech And Chong

「Mexican AmericanのCheech (Richard Marin)とChinese AmericanのChong
(Tommy Chong)がコンビを組み、70年代に一世を風靡した。ヒスパニック・マ
イノリティのコンビなので、危ないネタが満載であります。彼らの一番売れた
アルバムが1972年『Big Bambu』でゴールドディスク。シングルカットされた
「Sister Mary Elephant」もスマッシュヒット。今から30年前ですが、アメ
リカはとっくに学級崩壊というか、荒れた学校が沢山ありまして、いつもの先
生が旅行に行ったので、替わりにやってきた先生がその荒れた悪ガキたちを相
手に、丁々発止とやりあうというネタでございます。」

「アメリカのハイスクールはシスターが先生をやることが多いので「Sister
Mary Elephant」というタイトルだそう。いわゆる学級崩壊の教室の代理の先
生が入ってきて、この先生がこういう(すぐキレる)感じであります。ナイフ
が飛んでくるとか、結構怖いですね。で、夏休みの作文を子供発表させるんで
すね。延々毎日毎日同じ行動様式でですね、もういいっていっているのに、そ
れでまたキレちゃう。最後に自分が詩の朗読をするとみんな寝ちゃう。寝床の
元みたい。ずっと「Shut Up」で怒鳴りまくっていたのが最後は「Wake Up」
になるというオチでございます。」

・Q&A

Q: 「ミノルフォンはまだあるのでしょうか。レコードが欲しいのです。」

「ミノルフォンは何百枚とありますからやめたほうがいいですよ。今徳間ジャ
パンが権利を持っております。五木ひろしさんだってミノルフォンですから。
全部買えませんからやめた方がいいですよ(笑)。」

Q: 「先週の放送で出たレッドシールとは何でしょう?」

「RCA(現BMG)は昔クラシックの名作が沢山ありましたが、クラシックの一流
どころのものはレッドシールという、RCAの赤ラベルで発売されました。それ
を俗にレッドシールと呼び、レッドシールが出せるようになれば演奏者として
一流だというものです。」


今後の予定

・6/10は竹内まりやアルバム大詰めなので「棚からひとつかみ」。
・6/17,24は「山下達郎Liveリクエスト&わがままリクエスト」ミクスチャー。
・「Cascades特集」は7/1に。
・6月には「わがままリクエスト」も予定。


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