達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2001/1/7 Sunday Song Book


「新春放談 Part1:ゲスト 大滝詠一」


大滝詠一/Rock'n'Roll お年玉  1977『Niagara Calendar '78』
Tin Pan/Hand Clapping Rhumba 2000    2000『Tin Pan』
Jack Nitzsche/Lonely Surfer 1963 『Lonly Surfer』
Tippie & The Clovers/Bossa Nova Baby  1962


・新春放談は今回で18回目
 ついに21世紀。“2001年ナイアガラの旅”って言ってた時に、まさかこれが
 そこまで長く続くとは夢にも思わなかった。
 大滝「21世紀に残したい番組っていう風に世の中の人が思ったんだよ。」

・(待望の)2001年ナイアガラの旅は?
 山下「“2001年ナイアガラの旅”っていって、2000年の3月21日が
    どーたら、こーたらって話が90年代の中頃に何かあったような
    気がするじゃないですか?」
 大滝「巷でね、何かそういう風なものが流布されていたという事が
    ありますけれども、自分から言った覚えは一度しかない」
 山下「一度?」
 大滝「84年のインタビューで」
 山下「あ、なるほど。16年も前ですもんね」
 大滝「時効ですよ」

 Q:大滝さんはお元気でいらっしゃるのでしょうか?
 A:体を悪くした。50も超えるといろんな事がある。音楽だけでなく体調とか
家族の事とか
   いろんな事が世の中にあるって事は、18年前には気付かなかった。寄る年
波っていうのはあるんだね。
   音楽どころでない場合もタマにはちょっとはあったるもするんですよね、
人間ね。
   (だから2001年ナイアガラの旅は)ありません。ですから皆さん、3年待
ちましょう。
   ついでだよ。20年にしましょうよ、ね?

・「Hand Clapping Rhumba 2000」:
 '75年のアルバム“NiagaraMoon”のマルチのテープからボーカルをDATに録っ
て渡したものを
 先様がサンプリングして、ああいう風になった。
 山下「“2番は1番とちょと違う”で“そりゃそうだ”って入っているのが、何
かトラブったとか、
    トラブらないとか?」
 大滝「トラブったって言うより、メール2回やっただけで収まっている話です
から、別にトラブルでも
    何でもないですよ。只、パロディの意図がちょっと遠くなっちゃうなぁ
って、一瞬思っただけで。
    カバーバージョンですからねぇ、それは。」

・「(達郎さんの)価値観で言うと、大滝さんは熱して冷めて、また次の事で熱
して冷めてという感じは
 しないのだが、実はピークはあるんですね?」との問いに
 続くように見られているが、続かない。ピークを打つと止める。
 “5年したらヤメるのがいいみたい。5年やると色んな事がわかるからね。”

・最近、庭いじりにハマっていると漏れ聞いているが
 変わった物が好きな庭師と知り合った。とある“ねれ縁”のヒノキに防腐剤の
色がいやだと思っていたら
 その人に「朽ちるのも良いですよ」と一言いわれ、久々に“侘び寂”の電気が
走り、庭を作った。
 その庭は“トライアングル理論”に支えられた庭園。“枯山水”風が一つ、
“苔庭”のような物が
 一つ、“イングリッシュ庭園”風が一つと、すっごい狭い所に3つ分けてあ
る。
 横から見ると1つだけど、各部屋から見ると違って見える。1つの庭で3つの景
色が楽しめる。
 これが“トライアングル理論”!
 一気にのめり込んでいて、山へ苔を集めに行ったり、福井の苔で有名な寺へ行
ったりしている。

・苔と共に始まったのが“真空管”
 これも、そろそろ良い物は最後だろうから、今まさに毎日、真空管。アンプの
為の真空管で、プリは
 なんとでもなるので、ほとんどパワー。これからは絶対、真空管!
 “苔と真空管と、もう一つあると3つ(トライアングル)になるんだけ
ど...。”

・「The Lonly Surfer」
 ジャック.ニッチェが昨年亡くなったので何かかけて欲しいとのリクエストに
答えて。
 Q:多羅尾伴内楽團が再発されないのは、どうしてですか?
 A:買う人が少ないからですね。需要があまりないですから。

・ここ数年間の洋楽&邦楽はエコーというものが無くなって、ノーリバーブにな
ってきている。
 今から考えるとSP時代のスィングジャズや50年代末期のRock'n'Rollのガレ−
ジレコ−ドなども
 ノーリバーブであり、60年代中期のフィル・スペクターに代表される超絶エコ
ーの世界は
 ほんの一時期のものすごく特殊な世界だった。逆に衝撃だったのが良くわか
る。
 山下「大滝さん、どうしてあの、エコーが好きだった訳じゃないでしょ?最初
は」
 大滝「別段ね。未だに。別に好きでやってんじゃないんだよ。別に嫌いでもな
いんだよ。
    何なんだ。ああなっちゃったんだ。ああなっただけだよ、たまたま。」

 山下「結果論?」
 大滝「うん。朝妻さんが悪いんじゃないの?ロンバケの時に、なんかスペクタ
ー・サウンドが
    とかって書いたでしょ?あの人が...」

・「Bossa Nova Baby」
 大滝さんにとってLeiber&StollerはElvis以外の何物でもない。
Leiber&Stollerという存在を
 良いなと思ったのが「Bossa Nova Baby」。「Bossa Nova Baby」が出て来た時

 「Hound Dog」までのラインが初めて繋がった。Elvisの方が出来が良いが、今
日はオリジナルの
 Teppie & The Cloversをかける。Spectorがプロデュースしたと言われてい
る。

・ゴー・ゴー・ナイアガラに関して
 邦楽に関しては掘りが十分になされてなく、やるべき事がたくさんある。
 大滝「オレねぇ、とある日本の一番権威のあるところから、それをやらないか
っていう依頼が
 来てるんだよ。なんだけどさぁ、まぁだ、ちょっと早いかと思って」
 山下「いやぁ、小出しにするだけだって、2年3年軽く行きまっせ」
 大滝「うん、まあ、だから完璧にやめてね...」
 山下「だから“ゴー・ゴー・ナイアガラ”っていうような洋楽チックな名前じ
ゃなくて、
    “ナイアガラ天狗道場”とか」
 大滝「センスがね新しくて好きだよ、オレ、その名前が。ベースに浪曲がある
ところがね。
    さすがに上岡龍太郎さんが“山下達郎は浪曲や〜”って言ってたから
ね。“誰も聞いて
    くれへーん。あれだけ言ってるのに〜”ってね。」

誕生日メッセージの代読、今週来週は割愛でした。


今後の予定ですが

・1/14は引き続き新春放談-Part2 ゲスト;大滝詠一


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