達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

1999/11/07 Sunday Song Book「『On The Street Corner 3』特集(前半)」



山下達郎/Love Can Go The Distance 1999/11/10発売予定 Single
山下達郎/Dedicated To The One I Love 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*1
The Shirelles/Dedicated To The One I Love 1961 *1
山下達郎/Stand By Me 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*2
山下達郎/Gloria 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*3
The Cadillacs/Gloria 1954 *3
山下達郎/Angel 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*4
Elvis Presley/Angel 1962 *4
山下達郎/Dream Girl 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*5
Norman Fox & The Rob Roys/Dream Girl 1958 Single c/w「Pizza Pie」*5
山下達郎/Their Hearts Were Full Of Spring 1999/11/25発売予定『On The Street Corner 3』*6

一節
Angel

内容の一部(鈎括弧内は達郎氏のコメント)

・近況
「現在、ラジオプロモーション中。先週は福岡、名古屋。大阪も行ったがこれ
から放送か。雑誌プロモーションも多い。」

・業務連絡
オンスト1と2はリマスターして、ボーナストラック入り全12曲。1/26予定。
3は初回限定三方ボックス(『Cozy』と同じ)、2000年のカレンダー入り。

「『Melodies』からずっと写真を撮ってもらっている伊島薫さんが、プロにな
る前の若い頃にNYに行って、1976年に撮りまくった写真が山の様にあったので
使わせてもらった。インナーまでそれで構成されている。当初はジャケットを
80年の最初のものに戻す予定だったが、著作権の問題で使えず、全面リニュー
アルとなった。」

・前振り
「ア・カペラ(A Cappella)というのは、無伴奏のコーラス、楽器を伴わずに声
だけで作られた音楽。私は昔からコーラス、とりわけア・カペラの音楽という
のが好きだったが、一緒にやる友達がいなかった。それで自分でテープに多重
録音して、全部一人の声でア・カペラをやった。"ワン・マン・ア・カペラ"と
自分で名付けている。どういう音楽かというと、ドゥーワップ(Doo Wop)。
50年代のR&B、黒人音楽のコーラスグループ。それに影響を受けて60'sに白人
が真似してホワイト・ドゥーワップも誕生したが、そうした50's〜60'sにかけ
て米国で大変流行ったロックンロールのコーラスグループの事。私はとにかく
ドゥーワップが10代の頃から死ぬ程好きで、それをア・カペラでやりたかった。
ドゥーワップは元々ア・カペラ音楽で、何故なら楽器を買うお金がなかったか
ら。なので路上とか、地下鉄の階段、学校の体育館、トイレなど、自然のエコー
のある所に集まって、コーラスで音楽を作った。当時これをStreet Corner
Symphonyと呼んだ。そこから自分のアルバム・タイトル『On The Street Corner』
を戴いた。一番最初に作ったのが19年前。その頃はア・カペラもドゥーワップ
も日本では馴染みのない業界用語・専門用語だったので、レコード会社からダ
メだとか、そんな訳のわからないものを作るなとか言われ、限定盤で出した。
13年前に『On The Street Corner 2』を出し、1993年に姉妹編としてクリスマ
ス・ヴァージョン『Season's Greetings』。1999年に『On The Street Corner 3』
を出す事ができ、これも日頃の皆様のご愛顧の賜です。誠に厚く厚く御礼を申
し上げます。」

・*1 Dedicated To The One I Love
1958年 The Five Royalsがオリジナル。邦題「愛する君に」。
1958年にThe Shirelles(邦題「愛する貴方に」)、1967年にThe Mamas & The
PapasがカバーしてTop10ヒット。

「世代的にThe Mamas & The Papasのバージョンが馴染みがあるが、ここでは
3つのバージョンのいいとこ取りした。泥臭いところはソティスフィケイトし
て、The Mamas & The Papasの様にあまりいじり過ぎているところは元に戻し
た。」

・*2 Stand By Me
1961年 Ben E.Kingの有名曲。

「10数年前に1回録ったもの。『オンスト』は、元々ツアーでやりたくて一人
多重録音ア・カペラを作り、それをカラオケにして歌ったのが始まりで、22,3
年前から始めた。この曲もやって見たが、歌に満足できずにボツ。そのオクラ
入りテープが納戸から出て来たので、それをデジタルマスタリングして、この
間のツアーに使用した。やってみたらえらくウケたので、味をしめて今回入れ
た。元々は間奏のストリングスをやりたくてやった。」

「『オンスト』を始めた頃はオタクというか、若いゆえの意気がりというか、
こんな超有名曲をやってたまるかとか、マニアのファンにそんな一般的な曲を
やってやっちゃってと言われるがいやだったが、もうこの年になるとそういう
ことは関係ない。それ以前に好きな曲なのでア・カペラでやったらどうなるか
という興味があった。」

・*3 Gloria
1954年 The Cadillacs。Doo Wopの有名曲。

「彼らはDoo Wopのグループで最もダンスがうまかった。NYのApollo Theater
で観客を熱狂させた。それが60'sのTemptationsなどのダンスマナーのルーツ
になっている。いままで3回トライしたが、数年前のファンクラブのクリスマ
スプレゼント用CDバージョンのコーラスが雰囲気良かったので、リマスターし
て採用した。」

「「Marryでもない、Sherryでもない、愛しているのはGloriaなんだ。」これ
だけの詞ですが、深いものがある。Doo Wopシーンでは超有名曲で、カバーも
Manhattan Transferなど沢山ある。私もその一翼を担うべく挑戦してみた。」

・*4 Angel
Elvis Presleyがオリジナル。映画「Follow That Dream/夢の渚」の挿入歌。
日本ではCliff Richardのカバー(1965年)がヒットした。
Sid Tepper & Roy Bennett作 (Bert Kaempfert「Red Roses For A Blue Lady/
ブルーレディに紅いバラを」やElvisの「G.I.Blues」が有名)。

「Cliffのバージョンを元にしている。本日はCDを忘れたのでElvisのバージョ
ンで。曲もいいけど、このElvisの歌もいい。」

・*5 Dream Girl
White Doo Wop。1958年のシングル「Pizza Pie」のB面曲。Norman Foxの自作。

「一番馴染みのない曲ですが、オリジナルシングルを手に入れて、歌詞の聞き
取りができるようになったので、入れた。一番最近のお気に入り。以前かけた
ことがあったかな?」
# SSB(98/12/13)でかかってます。

「こうしたDoo Wopグループは元々ア・カペラで成立していた関係上ベース・
シンガーが居る。ア・カペラでは商品性が薄いのでインストゥルメンタルが付
けられるが、ベース・シンガーは居残るのでベースとベース・シンガーが喧嘩
するということが起こる。が、それもまたDoo Wopの持ち味。それが60'sの
TemptationsやDramatics等に引き継がれていく。Boys II Menの時代になると
ベース・シンガーは要らないのでフィーチャーされなくなる。」

・*6 Their Hearts Were Full Of Spring
The Four Freshmen『The Freshmen Year』(1961年)に収録。
邦題「心には春がいっぱい」。The Beach Boysのカバーも有名。

「今回は全曲オールディーズ/ロックンロール・テーストで行こうと思ったが、
今年に入って『The Freshmen Year』がCD化された。これに入っている「心に
は春がいっぱい」は、我々はBeach Boysのカバーで知る事になったが、当時は
モノラルだったのだが、これがなんとリアル・ステレオ!モノラルだと声が重
なっている時にどっちがどっちを取っているのか、ユニゾンから広がっている
時にセカンドとサードの人がどっち取っているのかわからない。これが白日の
下にわかってしまう。20歳そこそこの時に書いた譜面を引っ張り出して来て、
完全なスコアを作ることができた。これをやらない手はないだろう、というこ
とでFour Freshmenが1曲加わった。」

・岡崎市の太田さんから娘さんとお姑さんへの誕生日メッセージがありました。
おめでとうございます。

# 黒沢さん、どうもありがとうございました。
# この場を借りて、達郎さんにも、ありがとうございます。

今後の予定ですが
・11/14は「『On The Street Corner 3』 特集(後半)」
・11月には「R&Bのリクエスト特集」を検討中。
・12月には「Live 特集 Again」として、Live音源の残りを放送。



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