達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

1998/08/16 Sunday Song Book「COZY特集 (後半)」



山下達郎/夏のコラージュ 1998『COZY』*1
山下達郎/Lai-La -邂逅- 1998『COZY』*2
山下達郎 duet with Melissa Manchester/Stand In The Light〜愛の灯(98 Remix) 1998『COZY』*3
山下達郎/セールスマンズ・ロンリネス 1998『COZY』*4
山下達郎/サウスバウンドNo.9 1998『COZY』*5
山下達郎/ドリーミング・ガール(98 Remix) 1998『COZY』*6
山下達郎/いつか晴れた日に(Album Remix) 1998『COZY』*7
山下達郎/マジック・タッチ(98 Version) 1998『COZY』*8

以上、1998/8/26発売予定『COZY』の8〜15曲目を収録順に紹介。

内容の一部
◯近況
・『COZY』の取材、ディーラー(レコード屋)を集めてのコンベンション、そし
て今週から始まる竹内まりやNew Single録音などで相変わらず多忙。

◯COZY全体についてのコメント
・通算11枚目、企画物を加えて17枚目(#ベストは除く)。
全15曲、総演奏時間72分47秒。
7年間に50曲を録音し、100テイク以上に及んだ。
既発曲5曲、全くの未発表曲5曲、タイアップ済だが未CD化だったのが5曲。
#15曲中10曲がタイアップ物とは。(さらに1曲加わるし)
「Blow」も入れば完璧だったが、時間的容量が無くなってしまった。

・五目味というか、寄せ集めなのでアルバムのコンセプトはない。
社会復帰、シャバへの復帰ができたことを示すもの。
これでツアーも出来るし、来年は竹内まりやのアルバムも作れる。

◯各曲のコメント
*1 トヨタ・カリーナのキャンペーン・ソングとなり、8月からTV CM。
地味なコンパクトなシンプルな小曲。
60's的8ビート5リズム(青山、伊藤、難波、重実、山下)で一発録りに近
いバンド物。
世界中で誰もこんな曲をやらなくなったので、自分でやった。
#Prefab Sproutならやりそうな気が。でも彼らも達郎氏並に腰が重い(笑)。
Spotnicksのようなビートをやりたかった。

*2 ほとんど一発録り。94年のNHK銀河ドラマ「赤ちゃんがきた」の主題歌。
イーストコーストのGreenwich Villageなどの60'sフォークソングのような
テーストを目指して作った。
Lai-Laは何の意味のない言葉。
Smile Garageでの最後のRecording曲。

*3 Smile Garage閉鎖後、現在のホームスタジオ(Planet Kingdom)に定着する
までの2年間はスタジオを渡り歩くジプシーのような生活だったが、クオ
リティに満足できず、この間の録音は今回ほとんどボツ。
この曲も歌とAcoustic Piano以外の楽器は全部やり直した。コンピュータ
ミュージックなので簡単にできた。こういうのがコンピュータ物の利点。
MelissaはNY出身なのでAshford & Simpsonのような感じを、それにちょっ
とPhiladelphiaの匂いを。

*4 アルバム中最も自分らしくない曲。弾き語り。
数年前に子供と近所のハンバーガーショップへ行った時に、見るからに20
代の営業マンとおぼしき人がうなだれていて、一人でコーヒーを飲んでい
る姿があまりにも寂しかったので、それも曲にしたもの。
自分にしては珍しく詞から書いた。
全国の働くサラリーマンへの、あまり前向きではないが、応援歌のつもり。
これも10年前だったら絶対に書かなかった。そういう年回りになったとい
うか、人を見つめる目が変わってきたのだろう。

*5 これはボツから免れた1曲。2年前だったら収録しなかった。
2年前の96年頃はスタジオの問題で理想的な音像が作れず、アルバムを当
時に発表してたら全11曲入りで8曲はコンピュータものになったはず。
2年たってコンピュータものは5曲だけで、他はバンドもの。
70年代初期型の16ビートはデジタルレコーディングだとグルーヴが出なく
て思った音にならなかったが、近年の目覚しいデジタル技術の向上により
アナログっぽい感じが出るようになった。
都会の阻害からの開放や、南への桃源境にあこがれる都会人の心象を唄っ
たもの。「高気圧ガール」「踊ろよ、フィッシュ」などと同じインナート
リップソング。
カルトなファンからの御要望が多かったが、自分でも気に入っていた曲な
のでCD化できて喜んでいる。

*6 個人的にはアルバム中一番好きな曲。
松本隆との記念すべきコラボレーションの最初でもあり、思い入れがある。
ストリングとコーラスを全面やり直した。吉田保エコーも満載でちょっと
したポケットシンフォニーのような趣き。
トレンドとか売上とか音楽の価値はいろいろあるが、純粋に音楽を考えた
場合に自分にとってベストトラックと言えるのがこれ。

*7 弾き語り用に書いたつもりが、いつの間にか作家的な作風になってしまっ
た。意欲作なので気に入っている。いろんな人から「ドラマ主題歌にして
は地味だ」とかいろいろ言われたが、全然関係ない。自己模倣するぐらい
なら曲なんて書かない方がいい。
シングルヴァージョンはDDDなので、そのまま入れると音質的にアルバムか
ら浮いてしまう。そこで普通ミックスでやり直してAlbum Remixとした。
シングルに比べて軟らかい音色になっている。

*8 93年のシングル。入れるつもりはなかったが、リスナーと何故かスタッフ
からの人気が高かったのでいれることにした。
シングルとテイクが違う。歌、ギター、コーラスなどマニュアルプレイだ
け残して、その他はテンポが速くなっている。マニュアル部分は
Time-Stretch(時間軸圧縮技術)により、ピッチ不変のまま時間軸圧縮したも
のを乗せている。デジタル技術の進歩でこんなことも出来てしまう。
#やっぱり歌にもちゃんとデジタル信号処理を施していたのですね。以前、
#歌は元のままでもちゃんと乗るとか言っていたから、んな馬鹿なと思って
#ましたが。なるほど。

◯その他
この日は時間的にあまりにタイトだったため、特に既発曲は途中でしゃべりが
被ったり、早めにフェイドアウトしたりした。ちゃんと聞きたい方は8/26を待っ
て下さいとのこと。
先週に続いて誕生日メッセージなどはすべて割愛。中間のジングルもなかった。

今後の予定ですが
・8/23,30は「竹内まりやを迎えての納涼めおと放談」



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